BACIONE Thailand

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バッチョーネ Thailand

イサーン地方のコメ農家の標準的な収支について (タイでのビジネス)

写真は15ライ程度の稲作(もち米)の売却レシートです。数年前のレシートになりますが現在も計算方法とかに変わりはありません。

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リアルイサーンの稲作農家の収入を見てみよう

上の伝票によりイサーンの稲作農家を検証する訳ですが、耕地面積15ライと言いますすとイサーンの標準農家より少し小さい耕地となります、これを使ってイサーン(タイ王国の田舎)の農家の実情を調べてみましょう。

米を売却した時の状況

この時の収穫状況ですが、15ライの耕地面積で、90袋程度の収量(1袋は30kg強の重量)がありました。それを本年度自家使用として10袋をキープし80袋を売却しました。

コンケン大学のレポートの稲作標準収量

レシートの右上が私が売却した際のもち米の基本重量となった2.655kgです。この基本重量は売却する米の水分含有率を検査して、その分を引かれた結果の重量になってます。また売却する米のDNAの簡易チェックも行われ、うるち米との交配率も検査されます。まーいろいろ理由をつけて売却する米の重量を減らしていきます。

まずコンケーンの稲作農地面積当たりの標準収量ですが、コンケン大学によりますとコーンケンの稲作は1ライあたり平均収量250kg程度というデータになっています。

このデータはうるち米のデータですからもち米ならもう少し重いはずなのですが、この時は基本無施肥で作付けしてましたからこんなもんですかね。

米買取価格

この時のもち米1kgあたりの買取価格は写真を見ると12バーツでした。この買取価格は民間流通価格の場合と政府が介入する場合があります。インラック女史失脚の一因は米価政策も関係してましたね。一般的にうるち米よりもち米の方が単価が高いのですが、逆転する場合もあります。また政府が介入する米価は基本うるち米に対して行われます。

売却額と収入に対するコンイサーン的思考

そして、手数料をを差し引かれ手元には30660バーツが残りました。コンイサーン的にはこの金額のすべてが収入となりますね、ようは売価=収入という考えです。この思考なら稲作も儲かります。

検証開始...経費について計算してみよう

日本人的にはこの状態で儲かったと考えたのでは意味がないので、経費差し引いて利益を確定してみましょう。


まず稲作には「籾」が必要になります。その籾ですが1バケット(約30kg)1000バーツ程度の値段です。稲作時にプーヤイバーンのところに政府から基準作付け米のような選ばれた籾が有償で配布されます。作付けした米を商品作物として売却する場合はDNA検査に備えきちんとした籾を使う必要があります。まー自家用なら昨年収穫した自前の籾で充分です。

これが15ライですと4袋強必要ですので、ざっと4000バーツ程度必要になります。


基本的にもち米は直播きは無理ですから苗代を作らなければなりません。

苗代を作るのにはトラクター(ロータリー)で耕す必要があります。これがライあたり500バーツ程度かかります。

また稲作地もトラクターで耕さねばならず(ターンバックのみで可)ライあたり400バーツ、対象は15ライなので6000バーツ必要です。

 

苗代作りの人件費は無料としましょう。


次に苗代でできた苗を15ライに植える作業があります。

1日の田植え作業ですと一人工あたり250バーツですが


15ライを植えきるのに20人工程度必要です。

よって田植えで必要となるのは5000バーツ+食事代(昼食2回)


食事代は内容にもよりますが回あたり500バーツ程度でしょうか。ですから3回分としたま1000バーツですね。


田植えで問題になるのが水です。


灌漑されている農地であれば問題はないのですが、近年はガソリンポンプを使用して水を田に入れる場合が多いと思います。


ガソリンはリッターあたり40バーツとします。ガソリンポンプは3リッター程度入りますしてポンプ稼動可能時間は概ね2時間程度かと思います。


ポンプの揚水能力は日本製で分あたり600リットルあります。

15ライは24000㎡なのでそこに10cmの水を入れようと思えば24トン必要になります。もちろん土地が吸収する水もありますから、とりあえず3リットル120バーツ。

ここまでが田植えまでで必要な経費でしょうか

実は更なる経費が掛かっているのです


本来~田起こし→荒代かき→本代かき→田植えという工程ですから

田起こし、荒代掻きという工程を行えば費用はさらにかかります(ライあたり250バーツ)

収穫までには水位管理(ポンプでの水補給)・施肥という工程があります

水位管理に関してはロケーションで変わります~うちは必要なしですが

ポンプで水を入れれば500バーツ程度の費用が発生します

また稲は結実する時に水を多く必要としますが

タイ人は知識としてそれを持っていません

例年の降水量ですと問題ないのですが(天が調整している)

今年のように結実期に降水が少ないとガタっと収量が減ってしまいます

施肥に関してですが~ライあたり100バーツ以上の施肥を実施するはずです。
これを乗り切って収穫になるわけです。

収穫時にも比重の大きな経費が必要...

収穫は機械刈り(ハーベスタ)だとライあたり700バーツ程度ですね。15ライですと10500バーツとなります。

しかしハーベスタですと実の落下は手刈りより多く、イメージですが10~15%程度~収量が減ります。

また手刈りでの収穫は地域にお金を回すという意味もあり必要な事なのですが、もう既に手刈りは見かけなくなりました。


そして販売で上記の手取りとなります

結局~幾ら儲かったの?

売上   
30660バーツ

経費(田起こしから施肥や途中給水なし)
26620バーツ

利益    
4040バーツ+自家用の米10バケット(未乾燥、未精米)…精米100キロ以下相当となります…日本円で14400円ですね。

稲作に必要な途中の経費や人件費を考慮すると悲惨な結果になります。

耕作地の面積が広くても面積地当たりの経費は安くならない…

実はイサーンの田舎の稲作は耕地面積が広くなってもライあたりの経費の圧縮が出来ない仕組みなのですよ。広いから良いって訳ではないんですよね。

タイの稲作は三期作が可能な場所のみが、商品作物として稲作可能かと思います。

 

イサーン、稲作、トラクター、価格、コンバイン、儲かる等の検索で訪問される方が多いのでリアルな数字を提示して稲作農家の収支について書いてみました。

 




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